EVENT REPORT
2022.07.15 (Fri)

オンラインピッチイベント 「D2-SIX Vol.3」 

D2-“SIX”は、日本全国の D2C / EC 事業アイデアを持った起業家が登壇するオンラインピッチイベントです。このイベントを通して、起業家一人ひとりが持つ可能性や個性を伸ばし、事業スピードを加速させることを狙いとしています。その先にある目標は、日本からグローバルに進出していくブランドを輩出することです。

イベント内容

D2-“SIX”の名の通り、6名の起業家と6名のメンター兼審査員で構成されるピッチイベントです。まず起業家が自身の事業アイデアをピッチ後、メンター全員から12分ずつのメンタリングを受けます。そこでもらったフィードバックをもとに90分で事業アイデアをブラッシュアップし、再度ピッチを行い順位を決定します。最終ピッチで最も得点が高かった起業家は「BEST D2-SIX AWARD」を受賞、1回目ピッチから最終ピッチで最も得点が伸びた起業家は「いつもチャレンジ賞」を受賞となります。

D2-SIX Vol.3 審査結果

BEST D2-SIX AWARD

・株式会社OTONA 代表取締役 大平友明
価値のある伝統文化の衰退という問題解決のため、世界で飲まれる日本酒を作る

いつもチャレンジ賞

・株式会社ベジ・アビオ 代表取締役 山﨑瑶樹氏
環境制御型スマート農業で新潟県の農業活性化と若者の人材育成に寄与する

BEST D2-SIX AWARD

「BEST D2-SIX AWARD」は『Project momo』を展開する「株式会社OTONA 大平友明氏」が受賞しました。また、「いつもチャレンジ賞」は「株式会社ベジ・アビオ 山﨑瑶樹氏」が受賞となりました。
その他の方も非常に思いのこもったピッチを披露いただき、今回も大変熱のあるイベントとなりました。

PROFILE
株式会社OTONA
代表取締役
大平 友明氏

インターネット広告会社に就職後、地方創生、地方活性化をすべく2021年に株式会社OTONAを創業。SNS関係の事業を主軸としながら、2022年5月日本酒ブランドProjectmomoをリリース。

Projectmomoで日常に癒しの時間を

Projectmomoは2022年5月から開始し、開始6時間で100本以上売れ、2022年6月現在360万円を突破しております。特徴は下記の通り、岡山にこだわった一本を作りました。
・幻の米 岡山県産雄町米100%使用の純米大吟醸
・200年以上の歴史ある岡山県の酒蔵に委託
・酒蔵は天皇から褒賞された実績有り
・岡山の素材・岡山の水を使用

このプロジェクトのコンセプトは
「日本に積み上げられてきた歴史と文化を用いて日常の中に、荒んだ心を癒す時間を作ること」です。
「地域に存在する独自文化の衰退」「蔓延するネガティブな閉塞感・ネガティブな空気や同調圧力で荒んだメンタル」を解決する。そんな事業にしていきたいと思います。

今後の構想としては日本酒だけでなく、宿泊施設の運営までしていきたいと思っています。
その一歩目がこのProjectmomoで、ここから日本で続いている伝統文化を再解釈し現代に落とし込み、それを集めたようなブランドの聖地となるような宿泊施設を目指します。

何故日本酒を売るのか?
日本酒は1500年程続く文化があり、世界で勝負できる歴史とクオリティがそもそもビジネスチャンスです。加えて、社会的な課題として月約3蔵のペースで閉業している現状があります。※コロナ前
これ程価値のある文化をこのまま衰退させるにはあまりにもったいないという思いで日本酒を選びました。

日本酒業界ですが、高価格帯セグメントは成長しています。
それにも関わらず、昔ながらの習慣などもありD2Cへ取り組む事業者は少なく、新規で自分のような存在を求めている事業者は多いです。
なおかつ、海外で成長のチャンスがあり、レガシーな業界なのでビジネスのバリューチェーンに変革の余地もあります。

何よりチャンスだと感じるのが日本酒の面白さがまだまだ届いていない点です。
初めて飲んだ日本酒が美味しくなく、敬遠している人も多く、そこの認識を変えていくことで市場全体を大きくしていくことができると考えます。

ポジショニングとしては世界で右肩上がりに伸び続けるナチュラルワインの市場と同じようなところを見ており、1万円前後で日常に非日常を取り入れられるようなポジショニングを築いていきたいです。

ぜひ、Projectmomoで癒しの時間を味わっていただけたらと思います。

Instagram: https://www.instagram.com/project_momo_sake/?hl=ja

いつもチャレンジ賞

PROFILE

株式会社ベジ・アビオ
代表取締役
山﨑 瑶樹氏

2018年NSGホールディングス㈱に就職後、グループ内企業を異動の後、2020年に農業法人㈱ベジ・アビオに出向。管理・営業部を経て2022年に代表取締役に就任。スマート農業を活用し、高糖度トマト「とマとマとマと」など、トマト生産を行う。規格外品で加工品も製造・販売。

持続可能な農業法人のモデルケースを作りたい

もともと、リーダーシップが取れる仕事がしたい。社長になりたいという思いがありました。
そんな時農業法人に配属となり、創業者の「新潟で美味しいトマトを作りたい」という夢や、農業の担い手不足、儲からない産業であるという現実を知りました。

今販売している商品は糖度が高い、パッケージがかわいい等の付加価値はありますが、もう一つ、「人」の付加価値が必要だと思いました。そこで、「女性」「経営」「若手」などのキーワードを持つ自分が適任だと思い、代表を交代いたしました。今の日本の農業は4つに分類できます。

ベジ・アビオは右下(図)の立ち位置におり、ここから右上の小中規模農業を目指したいと考えています。そのポイントは「スマート農業を駆使できているかどうか」で、生産性をあげていくことが大切です。

トマトは日照が重要ですが、新潟は冬場の日照が不足している地域です。
そんな環境で生産性をあげる為に必要なのが、投資をお願いしたい「LED補光」です。
LEDを導入することで増収を見込むことができ、生産性アップの効果がある事が実証実験でわかりました。

他、日本で一番多いタイプの、図左下に位置する家族経営の農家の為にベジ・アビオができる事が「他農家の仕入業」です。
私たちが仕入れて、コネクションのある仲卸の会社に売ることで直接取引のお手伝いをし、収益を増やすことができると考えます。

ゆくゆくは、直接取引のお手伝いだけではなくこういった農家さんにベジ・アビオの仲間になっていただくことで「スマート農業の促進」が可能です。
仲間になっていただき農地面積が増えれば、現在ベジ・アビオの農地面積が小さい為にお断りしてしまっている就農希望の方を受け入れる事もできるようになり、「担い手不足問題の解消」ができ、それが農業の活性化につながっていくと考えております。

新潟県の課題を解決して、持続可能な農業法人のモデルケースを作りたいです。

株式会社ベジ・アビオ 公式サイト:https://vegeabio.co.jp/

他登壇者・ピッチリスト

PROFILE
Your own_. 共同代表
福島 花梨氏

2020年、大学に在学しながらYour own_.を立ち上げる。
他ブランドや団体とのコラボ企画を得意とし、インスタライブ や撮影協力を繰り広げる。

下着をツールとして抑圧のない社会を表現していきたい

私たちの事業は海外のランジェリーブランドから直輸入し、日本で販売しています。

現在のターゲットは「日本に住んでいる、20~30歳の女性」「他人から期待される美の基準に違和感を感じている人」です。

私たちのビジョンは「皆(労働者、消費者)が抑圧から解放された生きやすい社会」で生きられることです。

まずそもそも抑圧とは?
それは自身の意思や、願望が無意識に妨げられる状態です。
着たい服があるけど自信がなくて着れないというのは、あなたには似合わないという社会からの抑圧。女性らしく、男性らしくしなさいというのも性役割を押し付ける社会からのプレッシャー。
自分たちがどうしたいか、どう生きたいかを全く無視して社会からの期待に応えようとする事で起こることだと思っています。

ですが、その風潮とは反対にボディーポジティブ、ありのままの自分を大切にしようという考えが増えてきています。
海外では大きくなってきているムーブメントですが、日本ではまだまだ認知されていません。そんな状況を変えるべく、下着をツールとして抑圧のない社会を表現していきたいと思っています。

大切にしている身体の多様性の他に、「サスティナビリティ」「エシカルな生産」を理念としており、フレックスタイム制の導入や、環境に配慮した素材の使用、売り上げの一部を募金する等に取り組んでいるブランド様とお取引をしています。

これからのビジョンとしては、コミュニティー化に向けて2022年8月から定期開催されるオンラインイベントの準備を進めており、その他ポップアップでの販売も考えています。

商品販売の関係で終わらず、交流を通して、みんなで一緒に作り上げていくブランドとして抑圧のない社会の創出に努めます。

Your own_. 公式サイト:https://www.yourown.online/

PROFILE
株式会社VentureBlossom 代表
小泉 咲吾氏

投資用不動産会社と介護業界特化人材紹介会社の営業職を経た後に2020年合同会社VentureBlossomを設立。同年、株式会社化。2事業経た後に2021年5月、チーズケーキ専門ブランド「ママのチーズケーキ」をスタート。2022年4月に店舗を構える。

ママのチーズケーキで毎日の終わりに、ほっと一息つく一瞬を

ママのチーズケーキとは、事業の目的をシングルマザーの雇用創出とした「ママの為のチーズケーキ」です。

ママのチーズケーキの現状と強みですが、直営店1店舗のオフライン売上が7割を占めています。その他、五反田と札幌でデリバリー販売、オンラインストアとCake.jpというケーキの通販プラットフォームで販売しています。

専門店と冷凍ケーキを取り扱う最大の強みは「ロス0%」が実現可能な事です。
基本的に冷凍状態での販売をしており、冷凍状態の消費期限は30日となっています。また、製造から一週間たったものはデリバリー販売しており、ロスほぼ0を実現しています。

現在は製造拠点兼テイクアウト専門のオフライン店が富山県南砺市福光にありますが、今後富山県富山市、東京にも常設店を展開していきます。また、都内百貨店でポップアップを開催予定です。

その他オンラインの販売ですが、アフィリエイトとインフルエンサーマーケティングに注力し、1年後の2023年6月には月商1,000万円を目標としています。

ここからは課題についてです。

専門店展開では商圏に限度があり、急激な成長後に撤退する専門店が多数あります。

そこから、「ママのチーズケーキ」と並行して次に考えていることがスイーツ工房×クラウドファンディング×製造受託サービスを行う「Sweets Park」です。

Sweets Parkでは、地方企業から出資していただき、スイーツ工場を設立、製造のシェアリングと販売強化を目指します。そこで蓄積されていくノウハウも還元していく想定です。

全国展開を目指す菓子業者が抱える人手不足をスイーツ特化製造受託サービスにより、洋菓子のラインナップを追加することで解決するというビジネスモデルを考えております。

これから、パートナーの開拓や富山スイーツコンテストの開催と並行し資金調達も開始し、まずはSweets Parkの設立までを一つの目標としています。

株式会社VentureBlossom 公式サイト:https://ventureblossom.jp/page

PROFILE
Castling 代表
重岡 太郎氏

大学進学後に千葉へ。ITベンチャーに就職後「地元に関わりたい」「地元を盛り上げたい」という思いで24歳で当時勤めていた役員とシステム開発会社を起業。D2Cに近い業界の企業との接点が増える中で自分でも起業する事を決意。

TAROに共感してくれるコミュニティを作る

ITベンチャーに就職後、「地元に影響を及ぼし地元の世界を変えられるような会社を作りたい」と思い、24歳でシステム開発会社を起業しました。
そこでD2Cに近い業界の企業様との接点が増え、D2Cへの理解を深める目的と、幼少期から不思議に感じていた自分の名前「太郎」について知人と会話したことがきっかけでブランド化するに至りました。

何がしたいのかというところですが、「TARO」というものを世の中で一番誰でも知っているものにしたいという思いを持っています。
メタバース、Vtuber等、今後ますます「リアル」と「アンリアル」の二つの世界を生きていく必要があります。この二つの領域が干渉する事でメリット、デメリットがあり、これを自覚して生きていくことが必要です。
メリットとしてはYoutuberやVtuberなど新しい仕事、国境を超えて人とつながれること。
デメリットとしてはFakeニュースによる情報操作や匿名での攻撃など。こういった問題を共感いただける方と一緒に解決していくことが重要だと考えています。

この活動にTAROという名前を付けて共感者が身の付けるものとして販売していきたいというのが「ブランドTARO」という事業です。
たろうという名前には下記の意味を込めています
・たろうのような名前は世界共通で存在しており「世界共通」の課題の意味
・おとぎ話や絵本等、アンリアルな世界と自分のようにリアルにも存在するという意味
・誰もが知っているものにしたいという意味

この思いに共感できる人を集めてコミュニティを生み出すことがキーだと考えています。
その為にWEBメディアを作成し共感者へのインタビューや、SNS等で発信を考えています。
共感者を増やすためには自分達だけの力だけではなく、インフルエンサーの力も必要だと考えており、Vtuber、Youtuber,プロゲーマー等、二つの世界に接点が多い人にアプローチを掛けている段階です。

そのコミュニティで共感している「サイン」としてブランドTAROの商品を身に着けていただく事で収益化を目指します。

TARO 公式サイト:https://www.taro-fictional.com/

PROFILE
HUB SAUNA株式会社 代表取締役
冨田翼空氏

2018年新潟大学に入学。ビジネスコンテストでの受賞や複数社でインターンシップをしたのち、2021年にHUB SAUNA株式会社を創業。アウトドアサウナイベントの経験を活かし、小屋サウナ・施設サウナの監修、国産テントサウナの開発している。

アウトドアサウナで世界を豊かにする

作りたいビジョンは、「ありのままを大切にする世界を作る事」です。
鬱の状態からテントサウナで救われた経験をもとに、経済的合理性、社会的合理性から解放され各人の心を豊かにするようなサービス・プロダクトをサウナで作っていきたいと考えています。

テントサウナは一定の規模があるマーケットになっていますが、無色無臭の一酸化炭素中毒による死亡のリスクがあることが事業のポイントです。
そこで、弊社では使用者の安全性を守ることをまずは重視するとともに、日本のものづくりを世界に出していくこと、自分の経験をもとにメンタルヘルスにも寄与していきたいと考えています。

これに加え、これから行われるであろうテントサウナ業界の法整備、マーケットの95%のシェアを取っていたロシアのブランドが戦争の影響を受けていることのマクロ的な要因が事業の後押しをしてくれています。

既存のプロダクトと比較し弊社のプロダクトは安全性、最適な形状、環境にも考慮したサウナストーブになっています。
国内の安全性の高いサウナストーブはアウトドア市場で大きな需要があり、既にお問い合わせもいただくなど初期の角度が非常に高くなっています。

今後は初期の角度が高いtoBへ販売した後、その利幅を元にtoC向けテントサウナの開発と販売を行っていきたいと考えています。
toCのテントはよりデザイン性も重視されます。こういったところに資金をいれながら開発し、世界に誇るテントサウナブランドを作っていきたいと思います。

サウナで上場を目指したい為、プロダクトの売り切りだけではなく、ソフト面のサービスにも力を入れることで日本全国に最高のサウナを作り上げていきたいと考えています。

アウトドアサウナで世界を豊かにしていきます。

HUB SAUNA 公式サイト:http://hub-sauna.co.jp/

3回目の開催となったD2-SIXは、今回も熱意と才能ある起業家の方々、そして真摯に起業家と向き合われるメンターの方々にご参加いただき、非常に実りあるイベントとなりました。改めて、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

▼D2-SIX Vol.3 参加起業家(敬称略)

  • 株式会社OTONA 代表取締役 大平友明
  • 株式会社ベジ・アビオ 代表取締役 山﨑 瑶樹
  • Your own_. 共同代表 福島花梨
  • 株式会社VentureBlossom  代表取締役社長 小泉咲吾
  • Castling 代表 重岡太郎
  • HUB SAUNA株式会社 代表取締役 冨田翼空

▼D2-SIX Vol.3 参加メンター(敬称略)

  • 株式会社メルカリ Jeff LeBeau氏
  • 株式会社ANOBAKA 萩谷 聡氏
  • ラクサス・テクノロジーズ株式会社 児玉 昇司氏
  • いつもキャピタル株式会社 取締役/パートナー 杉浦 通之
  • いつもキャピタル株式会社 アソシエイト 北村 洋輝
  • いつもキャピタル株式会社 アソシエイト 遠藤 迅

▼主催

いつもキャピタル株式会社

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